詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1189 『デジャブ(既視感)』

2019/09/02

  日韓関係が史上最悪レベルに冷え込んでいます。元徴用工問題、レーザー照射問題に続く韓国政府による日韓軍事情報包括保護協定=GSOMIA(ジーソミア)の破棄表明は、多くの日本国民をうんざりさせています。


  私も一貫して日韓関係を強化する立場であったにもかかわらず、総理在任中に関係が悪化してしまい徒労感に苛まれた経験があります。


  2011年10月、総理就任後の最初の外遊先としてソウルを訪問しました。日韓のEPA(経済連携協定)とGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を締結し、2国間の経済協力と安全保障協力を進めたかったからです。


  当時の李明博大統領は、「歴代の韓国大統領は任期後半になると、『反日』を使いながら支持率を上げようとする繰り返しだった。私はそういうことはしたくない」と、明言しました。私は、彼となら未来志向の日韓関係を築けるかもしれないと思いました。


  ところが、その2か月後の同年12月、京都での日韓首脳会談で、李大統領の態度は豹変しました。韓国の最高裁の判決や韓国の世論の影響だったと思いますが、会談の大半をいわゆる元従軍慰安婦問題に費やしてきました。執拗に解決を迫ってくるたびに、法的に完全に決着していると繰り返し反論しました。


  逆に、私から在韓日本大使館の前に設置された慰安婦を象徴する少女の像を撤去するように要求すると、彼は逆ギレしました。「日本政府が誠意を見せない限り、ソウルの銅像に続いて、おばあさんたちが亡くなるたびに第2、第3の銅像が次から次へと建てられるだろう」と、許可なく歩道上に建てられた違法建造物を認めるかのような感情的な発言まで飛び出しました。


  翌2012年になると、大統領の求心力が低下し政権支持率も落ち込みました。さらに、実兄や側近が収賄で逮捕される事件も起きました。李大統領がわが国固有の領土である竹島に上陸したのは、実兄逮捕の1か月後でした。反日感情を煽動することで支持率を回復しようとしていたことは、明々白々です。


  昨今の文在寅政権の行状には、デジャブ(既視感)を感じます。


  まず、私が直面したいわゆる慰安婦問題も、今日の元徴用工問題も、1965年の日韓基本条約と日韓請求権協定の締結で、日本は13億ドルの経済支援を行ない、日本に対する個人の請求権は消失しています。しかも、「完全かつ最終的解決」という文言が入った合意です。法治国家なら「ちゃぶ台返し」できないはずなのです。


  次に、李政権の末期と同様に、文政権においても最側近のスキャンダルが浮上してきました。自らの醜態から国民の目をそらすために、安全保障のリスクを冒してまでGSOMIAの破棄を決めたとの見方も出てきました。


  「反日」と「嫌韓」が増幅される険悪な空気ですが、日韓の緊張はミサイルを連射している北朝鮮を利するだけです。昨年韓国で販売された小説のうち日本人作家のシェアは31%を占め、韓国の小説(29.1%)を上回ったそうです。お互いに理解し合おうという普通の人々も両国にたくさんいることも胸に刻み、もつれを解いていかねばなりません。


  

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