詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1162 『国際観光旅客税』

2019/01/07

  新年明けましておめでとうございます。


  2019年は、亥(いのしし)年です。何かにつけ猪突猛進気味の安倍政権を、国民に成り代わってチェックする納税者の番犬として働く決意です。


  本年最初のチェックポイントは、1月7日から導入された「国際観光旅客税」です。税の名称から、日本を訪れた外国人旅行者が納税義務者だと思われるかもしれません。ところが、実は訪日外国人だけではなく、海外に行く日本人も含め2歳以上なら飛行機や船で出国する時に徴収されます。


  国際観光旅客という看板に偽りがあり、ビジネスや勉強を目的として海外に出ていく場合も徴収されます。つまり、「出国税」です。


  金額は1人1回一律千円です。東京⇔パリ間を2百数十万円もするファーストクラスで移動する富裕層も、近隣アジアに格安航空会社(LCC)を利用していく人も同じです。1万円のLCC利用者にとっての千円は、1割値上げですから、相対的に負担が大きいといえるでしょう。


  国際観光旅客税の導入目的は、「観光先進国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図るための恒久的な財源を確保する」ことです。1992年の地価税以来27年ぶりの新税ですが、極めて異例のスピード導入でした。


  「観光立国」を成長戦略の柱と位置づける安倍総理を忖度したのか、2017年夏に急浮上した新税構想は、政府内で丁寧に議論を重ねた形跡がありません。与党税調も簡単に了承し昨年2月に法案が提出されました。最後の関門である国会でも入管法などと同様に、熟議されることもなく4月に成立してしまいました。


  私も観光立国をめざすことについては賛成ですが、新税の必要性については疑問がありましたので、衆院財務金融委員会において2回質問に立ちました。既存の予算の枠内で対応できないのか、なぜ一律千円なのか、税収の使途などについてです。


  かつて、ITや少子化という冠をつけると、予算化されやすい傾向がありました。もっともらしい大義や美名の下で財政が肥大化してきたのです。今日も観光庁、法務省、環境省、文化庁など全省庁の観光予算は総計3千億円に達しているのではないでしょうか。観光振興の名目の無駄はないか、厳しく予算を精査したいと思います。


  国際観光旅客税の税収は、平年度で430億円です。使い途が観光振興等に決まっている特定財源です。この点も要注意です。道路特定財源は高速道路の普及などで成果を上げた一方、いつの間にかマッサージチェアの購入などに流用されるようになりました。政府が特定財源という特別な財布をもつと、無駄づかいの温床になりかねません。厳しく監視していく決意です。


  

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