かわら版 No.1149 『太陽光買い取り半減』
2018/09/25今月6日未明に発生した北海道地震により停止していた道内最大の火力発電所、苫東厚真1号機が19日に復旧しました。これにより電力需給バランスが安定し、企業や家庭に要請していた「1割」節電を解除し、「無理のない範囲での節電」に節電要諦レベルが緩和されました。
なぜ道内全域の大停電(ブラックアウト)に至ったのか、その原因究明や再発防止に努めなければなりません。風評被害による観光客の減少など、復興に向けた課題もまだ山積しています。しかし、道内企業の生産活動や道民の暮らしを支える電力の安定供給の目途が付いたことにより、北海道の復興に灯火がともったことは大きな前進です。
ところで、今年の夏は全国的に記録的な猛暑でしたが、電力不足という深刻な事態には陥りませんでした。企業や家庭への特別な節電要請がなかったどころか、TV局のアナウンサーが「命に関わる危険な暑さ」から身を守るため、冷房を効かすように呼び掛けていました。
連日の猛暑による冷房使用の増加でも電力が足らなくならなかったのは、1つには節電や省エネの定着が挙げられるでしょう。電力各社の様々な工夫もあったでしょう。そして、晴天の真夏の昼間に発電量がピークになる太陽光発電の普及も、供給力確保に貢献していると思われます。
その太陽光発電を巡って、新たな注目すべき動きが出てきました。経済産業省が9月12日、太陽光発電の買い取り価格を半減する方針を示したのです。事業者向けは現在の1キロワットあたり18円から2022年度には8・5円に、家庭用は現在の26円から2025年度に11円にそれぞれ引き下げる方針です。
また、太陽光のみならず風力なども含めてわが国の再生可能なエネルギーの価格は海外に比べて割高ですが、安い料金を提示した業者を選ぶ入札制度を積極的に活用することによりコスト低下を図る方針です。
太陽光発電には特有の短所もあります。発電量が日射量に左右されるため、不安定であること。台風や竜巻、火災などで壊れる恐れがあること。景観を損なうことなど…。これらの課題も克服していかなければなりませんが、最大のボトルネックであった高コストを改善する動きに注目していきたいと思います。
7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを「主力電源」とするとし、「可能な限り原発依存度を低減する」としながら、再エネ普及のための具体策は全く記されていませんでした。ようやく政府が重い腰を上げたようです。
今世紀初頭、日本は太陽光発電では世界1と言われていました。現在は後発国にどんどん追い抜かれてしまいました。ますます遅れをとらぬよう、馬力を上げて開発と普及に努めなければなりません。