詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1148 『視界不良の安倍外交』

2018/09/18

  政府専用機を使用するとはいえ、高速移動が続くと疲労が蓄積します。時差との戦いも負担です。しかも、世界の主要国のリーダーはストロングマンが揃っていますので、国益を背負った交渉は神経がすり減ります。これらの事を厭わず、海外を行脚する安倍総理の努力は多としたいと思います。しかし、「労多くして功少なし」としか思えません。


  まずは、日本外交の基軸である日米関係です。かつて、安倍総理は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的な価値に基づく外交、いわゆる「価値観外交」を盛んに唱えていました。私も、基本的に同意見です。しかし、「米国第一」を掲げるトランプ大統領は、米国自らが戦後70年余にわたり築き上げてきた、前記のような価値観を重んじる国際秩序をせっせと壊しています。


  その結果、WTO(世界貿易機関)を中心とした自由貿易体制及びG7(先進国首脳会議)やNATO(北大西洋条約機構)に加盟するドイツ、フランス、カナダ等の同盟国との関係がボロボロになってしまいました。日本も日米安保条約により米国とは同盟関係にありますが、気まぐれなトランプ大統領により唐突に不利な政策転換が行われる可能性は否定できません。


  安倍総理は世界の首脳に先駆けて、電光石火の動きでトランプ大統領に近づきました。両首脳の近さは日本外交にとってプラス材料であったはずです。しかし、距離を縮め過ぎたために米国にひたすら追随するだけとなり、地球温暖化対策、核廃絶、中東和平などの分野で日本外交の独自性を失った感が否めません。


  また、米国の国内法の通商拡大法の国家安全保障条項に基づき、わが国の鉄・アルミニウムに高関税が賦課されました。日本は米国にとって安全保障のみならず経済も含めた同盟国であり、日本で製造した鉄やアルミニウムが米国の安全保障の脅威となるはずがありません。しかし、粘り強く交渉し阻止しようとした形跡がありません(実害が少ないと判断したのでしょうか)。


  自動車及び自動車部品にも同様な関税を賦課する動きがありますが、これは断固阻止しなければなりません。自動車関連はわが国産業の4番バッターです。主軸打者への死球は乱闘になりかねません。


  6月の米朝首脳会談の合意が曖昧であったため北朝鮮の非核化の道筋が不透明ですが、トランプ大統領が非核化の費用を日本と韓国に負担させようとしていることは間違いありません。日本は応分の負担を米国にも求めるべきです。


  最後に対露関係です。ロシアのプーチン大統領は12日、北方領土問題の解決を棚上げし、年内に日露平和条約を締結することを突然提案してきました。北方4島の帰属問題の解決を平和条約の前提とする日本の方針と真逆の提案です。安倍-プーチン会談は20回以上も積み重ねてきたはずです。成果が全くなかったことがよくわかりました。


  

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