かわら版 No.1146 『福島第一原発の今』
2018/09/03現在、東京電力福島第一原子力発電所では、原子炉建屋から燃料を取り出すことにより、事故を起こしてしまった発電所のリスクを継続的かつ速やかに下げていく「廃炉」作業が進められています。その進捗状況を「無所属の会」の同僚議員らと8月29日、現地視察してきました。
初めて福島第一原発を視察したのは、総理大臣就任直後の2011年9月でした。以降、2012年10月と2015年2月に、現地に足を運びました。その際、作業員の皆さんと同じ防護服(カバーオール)を着ました。密閉された防護服は通気性が悪いため、すぐに暑苦しさで汗だくになりました。頭・顔を覆う全面マスクを被ると、呼吸がしづらいうえに圧迫感も相当なものでした。
その後、敷地舗装やガレキの撤去などが進んだことにより放射線量が低減し、敷地面積の約96%で一般作業服で作業可能となりました。お蔭で、防護服に着替えることなく、視察もできるようになりました。作業員の方々にとって大きな負担となっていた全面マスクが不要になることで、視界が広がり、お互いの声も聞きやすくなるなど、コミュニケーションがとりやすく、作業効率の向上につながるのではないかと思われます。
とはいえ、今夏のような猛暑の中での作業は、並大抵のものではありません。苛酷な廃炉に向けた作業に従事されている方は、今もなお毎日4千人あまりいらっしゃると伺いました。こうした現場の献身的な作業により、福島第一原発の1~4号機の現状は、以下のようになっています。
まず、4号機は使用済み燃料プールから1533本の燃料取り出しを、2014年末に完了しました。1~3号機は安定状態を維持した上で、ガレキ撤去、除染、遮へい、取出用設備の設置等、使用済み燃料プール内の燃料取り出しに向けた準備作業中です。3号機については今年の11月中に燃料取り出しが開始されます。1及び2号機については、2023年度に燃料取り出し開始予定です。
事故時に溶けて固まった燃料(燃料デブリ)の取り出しについては、その具体的方法決定に向け検討が行われています。2021年内に1~3号機のいずれかから、燃料デブリの取り出しを開始する予定です。4号機については燃料デブリはありません。
廃炉に向けた課題は、汚染水対策などもあります。廃炉の作業は、30~40年かかる見込みであり、その道のりはまだまだ長くて険しいでしょう。しかし、「福島の再生なくして日本の再生なし」です。東京電力や協力企業だけでなく、国も前面に立ってやり遂げなければなりません。
今後も福島に足を運び、何が必要なのかを自分の目と耳で確かめ続けていこうと思います。