かわら版 No.1142 『早朝立ちと民主主義』
2018/07/301986年以来、船橋市内の主要駅前で朝の街頭活動を続けています。月曜の津田沼駅及び火曜の船橋駅は、午前6時から9時までの3時間コース。水・木・金は様々な駅をローテーションを組んで回っています。時間帯は午前6時半から8時半までです。配布物は約千字ほどのメッセージを載せた「かわら版」です。
警視庁警備部のSP(セキュリティ・ポリス)が張り付いていた時期は、地方議員やボランティア・スタッフにお任せし、私自身は活動を自粛していました。が、昨秋の総選挙後、警護の対象から外してもらいました。
車のドアの開け閉めやエレベーターの行き先のボタン押しなど全て任せっきりでしたので、まだ妙な後遺症が残っています。でも、自由な身となったお蔭で、私の政治活動の原点である「早朝立ち」は思う存分できるようになりました。
若い頃は、マイクを握って訴え続ける辻説法スタイルでした。今は「おはようございます」「行ってらっしゃい」などとご挨拶しながら自らビラを配る形式です。演説していると人は寄ってきません。ビラを配っていると、声を掛けていただき会話につながる確率が格段に高まります。
この私の活動が、日本経済新聞の電子版で紹介されました。すると、驚いたことに「首相経験者がビラ配り…?」と、中国のネットユーザーの間で反響を呼んでいるそうです。そもそも、中国の政治家は国民世論は気にしているでしょうが、国民と触れ合う機会をつくって民意に直接耳を傾けることはないでしょう。また、街中でビラなど配っていたら、治安当局に追っ払われてしまうでしょう。
「これが民主主義ってやつか」というコメントもあったそうですが、改めて彼我の政治体制の違いを強く認識させられるエピソードでした。一方で、日中両国の政治の共通点もあります。それは、国のトップの任期延長です。
日本においては、首相の座に直結する自民党総裁任期が、昨年3月、「2期6年」から「3期9年」へと延長決定しました。9月の総裁選で安倍氏が3選を果たせば、首相任期が2021年まで可能となります。
中国においては今年3月、国家主席の任期を「2期10年まで」とする憲法の条文が削除されました。この任期の撤廃により、2013年に国家主席に就任した習近平は、2023年以降もその座にとどまることが可能になりました。
日中のみならず、ロシアのプーチンもトルコのエルドアンも任期を延長し、権力の集中を進めています。短命政権も問題ですが、超長期政権の弊害も極めて深刻です。権力は腐敗するが故に、任期制限が導入されたはずです。その精神に立ち返ることこそ、民主主義のメンテナンスに必要なのではないでしょうか。