詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1139 『党首討論の使命』

2018/07/09

  今国会中、2回党首討論が開催されました。1回めは5月30日。野党第1党の立憲民主党・枝野代表の持ち時間は19分。このうち12分も安倍総理が聞かれてもいないことも含めて冗長に発言し続け、時間を空費しました。


  討論の後、枝野代表は記者団に対し、「意味のないことをダラダラとしゃべる総理を相手に、今の党首討論は、ほとんど歴史的意味を終えた」と述べました。


  2回めは6月27日。枝野代表が終盤に約6分間にわたり安倍政権の問題点を7つ列挙しました。すると安倍総理は議事録を読み上げながら反論し、「まさに今のやり取りを聞いていて、本当に歴史的な使命は終わってしまったなあ、このように思った次第であります」と、意趣返しの捨て台詞を言い放ちました。


  両党首が党首討論の歴史的意味(使命)は終わったと言及したことに、私は強い危機感を感じます。少なくとも、討論を形骸化させている張本人である安倍総理には、軽々しく口にしてほしくありません。自覚がなさ過ぎです。


  そもそも党首討論は、英国議会のクエスチョンタイム(QT)をモデルに、国会改革の一環として2000年から導入された制度です。総理(与党党首)と一定規模以上の野党党首と1対1で行う討議であり、政治家同士の大所高所に立った骨太の論戦が期待されていました。当時は、政権交代可能な2大政党制をめざして、選挙制度改革など英国を手本とした政治改革が次々と導入されました。


  私も与党党首として4回経験しました。対戦相手は、野党第1党の自民党、公明党、共産党、みんなの党でした。自民党とは、谷垣さんと3回財政を中心に、安倍さんとは1回だけですが定数削減を中心に討論しました。谷垣さんとはテーマを絞った丁々発止の議論が出来たので、思わぬ一致点を見い出すこともありました。安倍さんは議論が拡散する癖があるので、切っ先を喉元に定めた構えを意識しながら、気持ちを集中して臨みました。


  討論前の準備は、党首それぞれでしょう。谷垣さんはパートナーを選び、スパーリングしていたと仄聞しています。私は、1人で対戦プランを練り、相手の出方を想定しながらシャドーボクシングみたいに頭の体操を繰り返していました。


  私は、党首討論の歴史的使命は終わっていないと思います。形骸化しているのは制度自体よりも、プレイヤー(特に総理)の姿勢によると思います。6月の党首討論における「無所属の会」の岡田代表の持ち時間は僅か6分でした。簡にして要に徹し、短時間ながら存在感を示しました。対する安倍総理は的はずれの答弁を長々と続け、終了時間が過ぎ委員長が再三制止しても、平然と続けました。怒った岡田代表が「良心の呵責を感じないか」と質すと、「やっぱり岡田さん、ルールを守らないと」と、時間超過の責任を転嫁するような発言が飛び出しました。


  相手の発言を封じるクリンチ戦法の総理の不誠実さこそが、言論の府を壊しています。


  

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