３月27日、問題だらけの平成29年度予算が成立しました。 最大の問題は経済成長率と税収の見積もりを誤り、年度途中に新たに赤字国債を１・７兆円発行せざるを得なくなった前年度の反省が生かされていないことです。今年度予算も国債費を抑えるため、極めて甘い税収見積もりを出し、様々な粉飾を施しています。その結果、一般会計総額は過去最大規模となり、財政再建の道筋は全く見えません。

　　見通しを誤り、年度途中に税収不足に陥った例は、戦後数えるほどしかありません。その滅多にないことが２年連続で起こるかもしれません。それは、緻密かつ厳格に数字をはじかなければならない財務省をはじめとする政府が、アベノミクスを喧伝する総理官邸を慮り過ぎているからではないでしょうか。

　　いま話題になっている「忖度」（そんたく）、すなわち「他人の心をおしはかること」が背景にある予算編成だったと思われます。

　　予算審議では、安倍内閣の政権運営を巡り、様々な問題が発覚しました。特に、森友学園問題については、総理夫人と親しい間柄であるがゆえに国有地が格安で購入できたのではないかという国民の疑念は未だ払拭されていません。具体的には以下の点についての解明が今後も必要です。

　○国民の財産を８億円も大幅値引きした根拠とされる、ゴミ撤去費用が正当だったのか。積算根拠が明らかにされていません。

　○森友学園と財務省の交渉記録は本当に存在しないのか、本当に破棄したのか、隠しているのか、疑いは増すばかりです。

　○昭恵夫人から籠池氏へ百万円の寄附金は渡ったのか。籠池氏は偽証罪が問われる場で証言していますが、夫人はフェイスブックで否定したに過ぎません。

　○昭恵夫人付の政府職員から財務省への照会は、売買契約に影響を与えたのではないか。夫人自身も関与しているのではないか。総理夫人付の職員が夫人や官邸に相談もせずに、自身の判断で照会・連絡調整を行うことは考えられません。

　○国有地の格安売却は森友学園だけなのか。総理の友人が愛媛県で獣医学部を開設しようとしていましたが、開設予定地が国家戦略特区に認定され、用地がタダで譲渡された疑惑も出てきました。

　　これら一連の疑惑も、官邸サイドの意向もしくは財務省等の「忖度」が働いたのではないか、と推論せざるを得ません。

　私は、忖度政治がはびこりつつある風潮に、強い危機感をもっています。役人が時の権力者の顔色ばかりをうかがい、「公」のため国民のために尽くすことを疎かにしては絶対になりません。それは、「人治」であり「法治」の否定、民主主義の否定だからです。