詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1077 『国有地払下げ事件』

2017/03/06

  一時は「安倍晋三記念小学校」という名称で寄付金を集め、総理夫人も名誉校長を務める予定だった学校法人「森友学園」を巡る疑惑が、国会で連日追及され、様々な報道も続いています。


  事の発端は、同学園への国有地払下げ問題が明らかになったことからです。同学園が4月に開校しようとしている大阪府豊中市の小学校用地は、もともと評価額が約9億5600万円の国有地でした。しかし、地下奥深くからゴミが出てきたと言われ、その撤去・処分費用として約8億2千万円を値引きします。その結果、約1億3400万円という破格の安さで国有財産が売却されたのでした。何と9割引きです。その前に、国から学園側にそれまでのゴミの撤去や除染費として約1億3200万円が支払われていました。すなわち、国に入ってくるお金は差し引きわずか200万円。ただ同然で譲ったことになります。


  約8億円というゴミの撤去費用の見積もりは、本来ならば第三者の専門業者が行うものです。ところが、今回はゴミ撤去など全く経験したことのない大阪航空局が、初めて見積もっています。それでもゴミを撤去したならばまだしも、掘り起こしたゴミの半分は、搬出せずに埋め戻したという証言もあります。ちなみに政府は国会審議で、約8億円相当のゴミの撤去が実際に行われたかを確認する必要はない、と答弁しています。


  その上、森友学園が支払わなければならない約1億3千万円余の土地代金についても、年1100万円の分割払いを認めています。これらの異例ずくめの土地取引と極めてスピーディーな認可など、あまりにもプロセスが不自然かつ不透明です。そして、極め付けは交渉記録がまたしても廃棄により存在しないという、隠蔽体質です。


  その他、森友学園の特異な教育方針や虐待、政治家の口利きなど、疑惑が多岐にわたってきました。


  時を遡って1881年。近代国家としてスタートしたばかりの明治政府に激震が走りました。北海道開拓使長官・黒田清隆が官有物を同郷薩摩の政商・五代友厚(朝ドラではディーン・フジオカが演じた)らに安値・無利子で払い下げました。その決定が新聞のスクープで明るみに出ると、政府は国民世論の轟々たる批判を浴びました。そして、払下げの中止に追い込まれました。この「開拓使官有物払下げ事件」は、自由民権運動を盛り上げることとなり、「明治14年の政変」のきっかけとなりました。


  明治の世も今も、国民の財産である国有地を巡る政官業の癒着は、断じて許されないというのが国民感情でしょう。黒い霧を晴らすべく、党をあげて疑惑解明に全力を尽くします。

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