詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1039 『財政出動よりも成長戦略だ』

2016/05/09

  5月末、伊勢志摩サミットが開催されます。低迷する世界経済の立て直しのために、主要先進国がどのような政策協調ができるのかが問われることになるでしょう。その成否は、主催国である日本のリーダーシップにかかっています。


  安倍総理の肚(はら)は、機動的な財政出動です。各国とも経済成長と財政健全化の両立のために苦心していますが、停滞する世界経済を活性化するために、財政よりも成長に軸足を置こうという考えです。その根回しのために、欧州各国を歴訪しています。賛同する国もあるでしょう。しかし、財政規律を重んじるドイツを説得するのは困難でしょう。特に、ショイブレ財務相は筋金入りです。結局、G7の間には温度差があるので、何とでも解釈できる官僚的作文をまとめるのが精一杯だろうと思います。


  そもそも、世界一の借金大国の日本が、安易に財政出動を主導していいのでしょうか。異次元の金融緩和も機動的な財政出動も、共通しているのは一時しのぎの政策にしか過ぎないということです。そして、思ったほど効果がないことは、いずれも実証済みです。


  日本経済の底力ともいえる潜在成長率は、日本銀行によるとわずか0.2%程度だそうです。0.5%を切った数字は誤差を考えると、限りなく0に近いと解釈すべきでしょう。災害など国内外で不測の事態が発生すれば、たちまちマイナス成長に陥ってしまいます。だから、苦し紛れのカンフル剤の注射を打ち続けるのです。とうとう、マイナス金利という劇薬にまで手を染めるようになってしまいました。


  大相撲が始まりました。四股や鉄砲という基本的な稽古が足りない力士が、安易に立ち合いの変化などの奇策に走る姿をよく見かけます。当面の白星を強く意識してのことでしょうが、本人の真の成長や底力にはつながりません。


  アベノミクスという浮わついた経済政策も、地に足がついていない相撲と同じです。他国はともかく、わが国は兎にも角にも潜在成長率を高めるべく、腰を据えて成長戦略を着実に実施すべきです。

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