かわら版 No.1031 『大震災から5年』
2016/03/07東日本大震災から5年になります。発災当時、私は財務大臣でした。海外投資家の思惑を背景とした為替の過度な変動との闘いでした。そして、復旧・復興のための財源づくりに悪戦苦闘しました。その半年後、内閣総理大臣に就任し、復興庁を立ち上げ、復興交付金や復興特区を設け、二重ローン対策などを講じました。
野田政権は、復興を加速させるための道具立てをする役割を担いました。巡り合わせとはいいながら、かつて重たい責任を負った経験がありますので、今は野党になりましたが被災地の支援を息長く続けていく責任があります。
先月末も民主党東日本大震災復興推進本部長として、同僚議員と共に岩手県の釜石や大槌、宮城県の亘理などを視察してきました。そして、復興の段階に応じてきめ細かく被災者の声を聞くことの重要性を、改めて強く感じました。
たとえば、住まい。避難所から仮設住宅に移り住んだ被災者は、高台などに造成された集団移転用地で居を構えようとしています。自宅再建の余力のない被災者のためには、復興住宅とも呼ばれる災害公営住宅を自治体が用意します。その災害公営住宅について、様々なご要望をいただきました。
まずは、釜石では集会所について。住民によるコミュニティ形成は必須ですが、せっかく自治会をつくっても身近に集まる場所がなくて困っているとの由、公営住宅の空き室を利用させてほしいという要望でした。
次に、亘理では入居要件の緩和について。地元漁協の幹部と懇談していた席上、他府県から来たという若き漁業者たちから切実な陳情がありました。現在は水産会社のプレハブ住宅に住んでいるが、シャワーもなくて困っているとの事。被災者ではないが被災地の漁業振興のためにやって来たので、災害公営住宅の空き室に住ませてほしいというものでした。
いずれも新たな財政支出を伴うものではありません。政府の杓子定規な運用を改めれば、すぐにでも解決できることです。私たちは、政府に直接働きかけたり、国会の質疑でとり上げたり、あらゆる手段を尽くしてご要望にお応えしていく覚悟です。
それにしても、安倍政権の大臣・副大臣・政務官のいわゆる「政務3役」は何をやっているのでしょうか。災害廃棄物や放射性廃棄物の中間貯蔵施設が最大の問題になっている宮城県に、丸川環境大臣は一度も足を運んでいないそうです。スキャンダルを指摘されている高木復興大臣も、形式的で足早な視察でお茶を濁しているようです。民主党政権時の政務3役は、厳しく怒られ叱られながらも、現地現場主義に徹しました。
見ざる、聞かざる、言わざるの安倍「3ざる」政権に対して、私たちは現場をよく見て、現地の声をよく聞いて、それを踏まえてしっかり主張する政治をめざしていきます。