詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1030 『悪い癖』

2016/02/29

  国会における質疑では、言論による果たし合いのような場面もあります。そのような時、私はいつも正眼の構えで臨みます。そして、剣の切っ先を相手の喉元に突きつけたまま、間合いを詰めていきます。すると、大概の相手は動揺し、乱れや隙が生じます。


  久し振りの安倍総理との対決は、わずか約40分間でした。短時間の切り結びでしたが、剣を振り回し続ける安倍流の正体を見た思いがしました。核心に全く答えることなく饒舌にしゃべり続ける答弁術の極意は、術というよりもある悪い癖でした。


  衆院の議員定数削減を質すと、民主党政権では1議席も減らせなかったではないかと答えました。定数削減の実現を約束した覚書を見せて迫ると、民主党も署名しているのだから共同責任だと開き直りました。


  約束を破ったり嘘をついて親から叱られた時、子どもは「僕だけじゃないよ。○○ちゃんだって…」と言い訳します。そっくりじゃありませんか。私も、小さい頃同じような返答をしたことがありました。その時、亡き母は益々怒り、「○○ちゃんは関係ない。まずはあなたがきちんと謝りなさい」と、こっぴどく叱りました。


  結局、安倍総理は長い間定数削減という約束を放置してきたことに対し、一言も国民に対して謝罪しませんでした。幼稚な悪い癖の答弁に終始しました。それでも、棚上げ先送りの自民党案から「10議席削減」を前倒しする考えを示したことは、半歩前進だと思っていました。ですから、議席配分方法については、民主党は「衆院選挙制度に関する調査会」の答申を全面的に受け入れると言明し、自民党も細部や技術論で党利党略に陥るなとクギを刺すにとどめました。総理も党利党略を排すと約束したはずです。


  これらの議論を交わしたのは、2月19日でした。そして、2月22日、各党は調査会答申に対する方針を衆院議長に報告しました。民主・維新・公明は、定数10削減、「アダムズ方式」という議席配分方法の即時採用など、答申をすべて尊重する方針です。しかし、自民党は定数10削減には同意するものの、議席配分方式については最高裁が是正を促してきた「1人別枠方式」に固執し、答申で提案されたアダムズ方式については2020年国勢調査後に検討する方針でした。


  議席配分方式は技術的過ぎるので詳細は避けますが、調査会は9通りの方式を比較検討した結果、アダムズ方式を採用したのです。この答申のキモを素直に尊重しないのは、影響を受ける議員の反対が強いからであり、まさに党利党略という自民党の悪い癖がこの期に及んで出てきたといえましょう。


  最後に、民主党と維新が合流することで大筋合意しました。私は一貫して慎重な立場でした。党名にも愛着がありました。しかし、岡田執行部が熟慮の上判断した結論には従います。決まったことにゴチャゴチャ言う悪い癖は断ち切らなければなりません。

 

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