かわら版 No.1016 『臨時国会を開け』
2015/11/1610日及び11日、衆参それぞれの予算委員会において閉会中審査が行われました。僅か2日間、14時間の質疑で国政全般に関わる議論が深まるはずがありません。議員も国民も消化不良だと感じています。やはり、臨時国会をきちんと開いて、各般にわたり徹底した審議を行うべきです。
まず第1は安全保障です。国民の92%が自衛隊を評価しています。そして、83%が日米安保条約を評価しています。岸内閣の頃とは隔世の感があります。だから、安保環境が厳しくなる中、真に必要な法整備を行うことは国民も理解するはずです。しかし、先に成立した安保関連法についての理解は進んでいません。世論調査では「説明が足りない」という人が約8割もいます。政府はこの声を真摯に受け止め、国会審議を通じて説明責任を果たすべきではないでしょうか。
第2は経済政策です。新三本の矢なるものが唐突に唱えられはじめました。狙うところの国内総生産(GDP)600兆円、出生率1.8、介護離職ゼロに誰も異論はありません。しかし、それらを実現する道筋がさっぱりわかりません。そもそも、前の三本の矢はどうなったのでしょう。「1億総活躍」というスローガンも違和感があります。「子どもの貧困」「下流老人」など個別具体的に焦点を絞るべきではないでしょうか。TPPも勝ち取るものを勝ち取ったか、守るべきものを守れたか、国会で明らかにすべきです。
第3は税財政です。消費税率10%時に導入しようとしている軽減税率については、既に前のかわら版で私の考えを明らかにしていますので重ねて詳述しません。が、「社会保障と税の一体改革」の3党合意の根幹に関わる議論を、自・公両党だけで進めるのはおかしいと思います。合意当事者であった民主党も含めて各党が意見を交わす国会を開くべきです。法人税の実効税率引き下げも、企業の内部留保が溜まるだけで効果がないと思いますが、こういう議論も是非したいものです。
第4は閣僚の資質についてです。通常は内閣改造で新たに閣僚や政務三役に選任された人たちは、国会で所信を表明し、それに対する質疑を経たのち本格的に執務に入ります。その際、「政治とカネ」を巡る疑惑などの身体検査も受けることになります。こうした資質についてチェックされることもなく、政府の中で重要な仕事に就いていいのでしょうか。
憲法第53条は、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と、定めています。この憲法の規定に基づき、野党各党は臨時国会開催を要求しています。しかし、安倍政権は応じようとしません。疑惑閣僚のほとぼりがさめるまで、国会審議から逃げようという魂胆でしょうか。