かわら版 No.984 『税収増のカラクリ』
2015/02/16先週ようやく平成27年度予算案が国会に提出されました。いよいよ今週から本格的に審議に入りますが、とりあえず私の雑感を記します。
税収は約54.5兆円と前年度よりも約4.5兆円増と見込まれています。一見するとアベノミクス効果による税収増と勘違いしそうです。しかし、消費・所得・法人の基幹税をよく見てみると、早合点が禁物であることがわかります。
まずは消費税。約17.1兆円と前年度比で約1.8兆円増となっています。昨年4月に税率を5%から8%へと引き上げたのですから、増収になるのは当たり前です。別に個人消費が喚起されているわけではありません。
次に所得税。約16.4兆円と前年度比で約1.6兆円増と見込まれています。しかし、株式譲渡を含む配当所得がその半分を占め、給与所得が順調とは言い切れません。要は、バブル効果です。
そして法人税。約11兆円と前年度より約1兆円増です。これはかつて赤字に陥り一定期間欠損金繰越控除の対象になっていた企業が、ようやく法人税を払うようになってきたためです。直近の景気動向によるものではなく、単なる巡り合わせによるものです。
このように日本経済の真の実力が回復したわけでもないのに税収が増えるのですから、安倍政権は運が良いといえるでしょう。そのツキに慢心してしまったのか、一般会計総額は約96.3兆円と史上最大規模になってしまいました。歳出面からの取組みにより、着実に財政健全化を進める姿勢が稀薄です。
国会議員の使命は、「行政のポチ」になるのではなく「納税者の番犬」になることです。その使命を強く自覚して、歳出全般にわたり聖域なく徹底的に精査していかなければなりません。