かわら版 No.969 『事業仕分け』
2014/10/069月27日の御嶽山の噴火は、火山災害では戦後最悪の犠牲者数となりました。お亡くなりになられた皆様のご冥福を心よりお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
この御嶽山の噴火に関して自民党の片山さつき参院議員が自らのツイッターで、「民主党政権の事業仕分けで常時監視の対象から御嶽山がはずされた」と投稿しました。そして、「この状態では『予知困難』と気象庁も言うだろう」ともつぶやきました。災害対策や防災は党派を超えて取り組まなければならないのに、全く根拠のない悪意に満ちたツイートでした。
民主党の抗議を受け、片山議員はツイッターで「事実誤認に基づく発信だった」と陳謝し、投稿を削除しました。念のため事実を記しますが、御嶽山を観測強化対象から外したのは2008年の自民党政権の時でした。すなわち、片山議員は事実誤認どころか責任転嫁していたのです。このようなタチの悪いメッセージが発信される背景には、民主党が推進した事業仕分けは失敗だったと烙印を押す意図があったのでしょう。
奇しくも噴火が発生した9月27日、私は千葉県銚子市で事業仕分けの産みの親である「構想日本」の加藤秀樹代表と久し振りにお会いしました。全くの偶然でした。私は、講演で行ったのですが、加藤さんは来年度予算に反映させる銚子市の事業仕分けのためでした。財政立て直しが急務の銚子市は、越川信一市長のリーダーシップの下で2016年度までの3か年で10億円程度の収支改善を図る「銚子市再生の緊急改革プラン」を6月に策定しました。同プランでは事業仕分けで2億2千万円の削減を図ることになっているのです。
加藤さんは9月27、28日の2日間で41事業を対象に、市側と仕分け人のやり取りを基に、市民判定人延べ80人が事業の存続を判断する仕分けを統括されたのでした。加藤さんによると、年間20か所ほどの自治体において、事業仕分けをしているそうです。財政再建に意欲的な自治体の間に、仕分けという手法が浸透しつつあることは喜ばしいことです。
国も地方も、税金の無駄遣いは許されません。意義の不明確な事業、事業の重複、ピンハネ、中抜き構造、組織のための組織など、あらゆるムダを洗い出すことはとても重要です。その過程を衆人環視の中で可視化(見える化)する事業仕分けの意義は、もっと正当に評価されるべきです。
ところで、安倍内閣の下で何か行政改革が進んでいるのでしょうか。何も進んでいません。むしろ後退しています。民主党の取り組んだことを真似したくないというなら、自らの知恵で行政改革努力を具体的に示してもらいたいものです。