東京タワーができたのは昭和33年。東京オリンピックの開催は昭和39年でした。この頃の世相を感動的に描いた「3丁目の夕日」は、私の大好きな映画です。当時は今に比べればまだまだ貧しい時代でしたが、堤真一演じる鈴木オートの社長も、堀北真希演じる集団就職で上京してきた女の子も誰もが「今日より明日は良くなる」との思いを抱き、懸命に頑張っていました。そして、わが国は「1億総中流意識」の時代を、一時的ではありますが実現させることができました。
ところが、現在は、若い人たちは、学んだ後に仕事につけるかどうか不安に思っています。働いている女性たちは、子どもを産み、預けることができる社会なのか、子育てに不安を持っています。そして、誰もがいまだに老後に対する不安を抱いています。こうした不安を取り除き、「分厚い中間層」を復活させることが、民主党の目指す政治です。
だから、民主党政権時には、雇用創造と並び、賃金引上げ、非正規と正規の格差是正を進め、生活を底上げすることを重視しました。有期契約の更新を制限し、正規雇用に切り替える法改正を行ったり、非正規と正規雇用の待遇の格差の是正に向けてパート労働法を改正したのは、そうした趣旨からです。
失業や病気などにより、ひとたび中間層から外れると、元に戻れなくなるとの不安もじわじわと広がっています。だから、生活保護から脱却するための就労支援・自立支援、生活保護には至らない生活困窮者への支援の拡大に努めてきました。
子どもの貧困率が高くなっていることに対しては、高校授業料無償化の導入・継続、奨学金の拡充など教育の機会を提供し、貧困の連鎖を断ち切ることを重視してきました。
野党になりましたが、「分厚い中間層の復活」という旗は、高く掲げ続けて参ります。国民生活の全体的な底上げこそが、消費を活性化させ、経済成長が期待できるからです。そして、中間層の再生こそ、経済的理由で結婚できない、子どもを持てないという人を減らす、究極の少子化対策になると思います。
安倍政権の下、デフレ脱却だ、経済再生だと自己宣伝していますが、極端な金融政策の結果、大幅な円安で物価が上がる一方、賃金の上昇はそれに見合ったものになっていないため、実質賃金は低下しています。株などの資産を持たざる者は置き去りにされ、中間層が痛めつけられているのが実態ではないでしょうか。
9月29日から臨時国会が始まります。「分厚い中間層の復活」という民主党の立ち位置を明確にさせ、不安が顕在化しつつある安倍政権の経済運営を厳しく糾していきたいと思います。