世界各国の首脳たちと国内外で数多くの会談を経験しました。その際、打ち解けた雰囲気をつくるためには、どうしても雑談ネタが必要になります。私の場合、2つの分野が有効でした。
第1は、サッカー。世界で最も人気のあるスポーツだけに、世界の首脳たちの関心も高いことがよくわかりました。パラグアイの大統領とお会いした時は、前回のワールドカップでベスト8を賭けて戦った日本・パラグアイ戦の熱闘で盛り上がりました。メキシコ大統領とお会いした時は、1968年のメキシコ五輪で、日本がメキシコに勝って銅メダルをとった話をすると、ロンドン五輪では必ずリベンジすると相手は返してきました。事実その通りになってしまいましたが…。
来月は、いよいよW杯ブラジル大会。たくさんネタを仕込むチャンスです。ちなみに先日、早大政経学部の同期生である岡田武史元日本代表監督と久し振りに食事をしましたが、「ザック・ジャパンは、予選リーグを突破する可能性が高い」と、予想されていました。
第2のネタは、孫。残念ながら今は冷え込んだ関係になってしまった某国の前首相。彼とは随分丁々発止の議論もしましたが、ある時、彼のお孫さんが大好きだという「キティちゃん」の話に触れると、たちまち満面の笑顔になりました。そして、孫を通じて日本のアニメをたくさん知っていると教えてくれました。
そのほか、モンゴル大統領とは「おしん」の話、フィリピン大統領とは国民的英雄であるパッキャオというボクサーの話などが功を奏しました。オバマ米国大統領とはバスケットボール、ロシアのプーチン大統領はもちろん柔道の話題が不可欠でした。
外交には、硬軟織り交ぜた工夫が必要です。今回は、やわらかい話題でまとめさせていただきました。