2012年4月21日、日本・メコン地域諸国首脳会議が東京で開催されました。メコン地域諸国とは、メコン川流域に位置するベトナム、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーといった国々を指します。各国首脳の中で最も注目されたのは、国家元首による28年ぶりの公式訪日となったミャンマーのテイン・セイン大統領でした。
日・ミャンマー首脳会談では、2011年3月の民政移管以降のミャンマー政府による民主化、国民和解、経済分野の改革の推進状況の説明がありました。これを受け、私は、ミャンマーの改革努力を一層後押しするため、ミャンマー国民が改革の成果を広く実感できるよう支援を強化することとしました。
そのために対ミャンマー経済協力方針を根本的に見直し、①少数民族を含む国民の生活向上支援、②人材の能力向上支援、③インフラや制度の整備支援といった3つの柱を中心に幅広い支援を実施していくことを大統領に伝えました。
また、その際に、ミャンマーの延滞債務問題を包括的に解決することがミャンマーの国際社会への復帰のために重要と考え、延滞債務問題の解消に向けて日本がイニシアティブをとることを約束しました。この政治決断は、ミャンマーが国民生活の向上や経済社会の発展に本格的に取り組むことのできる基盤を提供することとなったと考えています。
一連の首脳会議が終わり、夜は迎賓館の和室に各国首脳を招いて晩さん会を開きました。その席上、前日が誕生日であったテイン・セイン大統領の誕生祝いも行いました。会がお開きとなり、私はお一人お一人を丁寧にお見送りしていたところ、最後に残っていたラオスのトンシン首相が途方に暮れていました。自分の履いてきた靴が見当たらないというのです。おそらく、誰かが間違えて履いて帰ってしまったのでしょう。トンシン首相には残っていた誰かの靴を履いて帰ってもらいました。
翌朝、「犯人」がわかりました。ミャンマーのテイン・セイン大統領でした。日・ミャンマー首脳会議が上首尾に終わった上、サプライズの誕生祝いも加わり、気持ち良く酔ってしまったからでしょう。
以降、国際会議があるたびに、私はオバマ大統領をはじめとする欧米の首脳たちに、ミャンマーが改革に本気で取り組んでいるとの印象を伝えました。そして、国際社会としてミャンマーの改革を一層後押しする必要を説きました。
このようにミャンマーへの支援強化にむけて舵を切った責任がありますので、その後の進捗状況を現地視察しようと、先月末、民主党日本・ミャンマー経済交流推進議員連盟会長として初めてミャンマーを訪問しました。テイン・セイン大統領とも再会しましたが、改革が確実に前進していることを実感できました。今後も、お互いに親しみを感じ合っている2国間の関係を強化するために汗をかいていく決意です。