詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.943 『軋む日米関係』

2014/03/17

  私は、日本という国の国家経営の要諦は、3つあると思っています。第1は、皇室を大切にすることです。第2は、独善的な政治主導に陥ることなく、霞が関の総力を結集して様々な課題に立ち向かうことです。第3は、日米同盟をわが国の外交・安全保障戦略の基軸に据え、その関係を進化させることです。


  私が2011年9月2日、総理大臣に就任した当時、「普天間」の迷走などが尾を引き、第3点目の日米関係はすこぶる停滞した状況にありました。日米関係の修復が急務でした。


  そのチャンスはすぐにめぐってきました。ニューヨークの国連総会に出席した私は、2011年9月21日、初めての日米首脳会談に臨みました。とかく「ビジネスライク(実務的)」と評される弁護士出身のオバマ大統領でしたので、儀礼的なご挨拶程度では済まないと覚悟していました。したがって、事前に日米間の具体的な政策課題をすべて頭の中にたたき込んでおきました。案の定、オバマ大統領は矢継ぎ早に具体的、実務的な話題を提起してきましたが、私はメモを見ることもなく明快に受け答えすることができました。


  「彼とは一緒に仕事ができる(I can do business with him)」。会談後、大統領は「仕事相手」として評価する発言を周辺にしました。以降、私が総理在任中、電話会談も含めて8回日米首脳会談が行われました。特に、2012年4月末、私がワシントンを訪ねた時は、会食も含めて異例の長さの時間を割いてくれました。


  衆院選に敗れ、私が民主党代表辞任を表明した翌日の2012年12月17日、ホワイトハウスのカーニー報道官の定例の記者会見でこれまた異例の発言が飛び出しました。


  「最後に一言付言したいと思います。それは、バラク・オバマ大統領が野田総理の果たした日米関係の貢献に感謝しているということです。地球規模の課題から地域や二国間に横たわる広範な課題をめぐる日米協力への貢献です。そして、私たちは野田総理のご尽力に感謝するとともに、今後のご活躍をお祈りしております。」


  その日米関係が、最近非常にギクシャクしてきました。その軋みの原因は、官邸やNHK幹部らによる無思慮・無分別な言動です。中には、反米ナショナリズムを助長するようなものもあり、看過できません。わが国を戦後国際秩序への挑戦者としてレッテルを貼り、日米離間を画する勢力の思うツボではないでしょうか。


  来月、オバマ大統領が訪日する予定です。実学重視のオバマ大統領と個人的な美学に流されがちな安倍総理との相性が心配ですが…。世界第1位と第3位の経済大国間の揺るぎのない同盟関係は、アジア・太平洋地域の平和と安定に不可欠なのです。お互いにその大局観を見失わなれば、首脳間の個人的信頼関係も深めることができるでしょう。

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