かわら版 No.923 『訪米のご報告』
2013/10/159月下旬から10月初めにかけて、3泊5日の強行軍で訪米してきました。主目的は講演でしたが、いまのアメリカを体感できたことが何よりの収穫でした。
訪米中、与野党対立のあおりで政府機関の一部閉鎖が始まりました。ワシントンではスミソニアン博物館などが突然閉まり、観光客が右往左往していました。下院多数派の共和党が、オバマ大統領が推進する医療保険改革の延期を求めて暫定予算案を承認せず、政府機関のシャットダウンに至ったのです。
様々な識者に打開の見通しを聞きましたが、「恥ずかしい」「困った事だ」と繰り返すだけで、誰も妙案はないようでした。「自由の女神もずっと立ちっ放しで働き続けてきたので、暫くしゃがんで休んだほうがいい」と、呑気なことを言っている人もいました。
国民不在のチキンゲームが続く中、今月17日にも政府のお金が底をつき、債務不履行(デフォルト)に陥るおそれがあります。そうなれば、リーマンショックの時以上に日本も含めて世界経済は大混乱です。最悪の事態を回避できるかどうか、米国政治の英知と決断力が厳しく問われています。
知日派の政治学者であるコロンビア大のカーチス教授や、対日政策に影響力をもつCSIS研究所のハムレ、アーミテージ、マイケル・グリーンなどの専門家たちとも精力的にお会いしました。彼らの最大の関心事は日中関係、日韓関係でした。一連の会談で最も印象的だったのは、世界の政治リスク分析に定評のあるユーラシアグループという調査会社の社長であるイアン・ブレマー氏でした。ブレマー氏によると、
「ある国に対して他国がどう見ているかという調査結果が2、3か月前に出た。そして、2つの興味深いことがわかった。ひとつは韓国や中国における日本に対する認識がこの5年間で非常に悪くなったことだ。中国ではたった5%の人しか日本に対して良い印象を持っていない。韓国はそこまで悪くないが相当ネガティブな反応だ。さらに興味深いのは、その2か国を調査から外して他の国が日本をどう見ているかということでは、日本は世界各国のうちで最も好印象を持たれている国だということだ。つまり、日本は中国、韓国とかなり深刻な問題を抱えていると言える。ただ、その2か国しか問題はない。」
とのことでした。大変示唆に富んだお話だったので、私もその調査結果を詳細に分析しようと思います。
ようやく今日から臨時国会が始まります。内政も外政も様々な課題がありますので、国民の代表としてしっかりチェックしていく決意です。