かわら版 No.918 『尖閣国有化』
2013/09/09わが国の国土面積は、世界の中で61番目です。しかし、約6800もの島を有する国なので、島を起点とする日本が管理できる水域の面積は、米国、ロシア、豪州、インドネシア、カナダに次いで世界第6位になります。海水体積でみると、米国、豪州、キリバスに次いで世界第4位です。これは日本が一番深い海を広く保有していることを示しています。特に5000メートル以深の深海水の保有体積は世界第1位です。
ここにはレアメタル(希少金属)、レアアース(希土類)、メタンハイドレード(メタンガスが低温・高圧下でシャーベット状になっているもの)など、たくさんの「お宝の山」があります。海洋こそ、日本が資源小国から脱皮するチャンスを秘めているのです。
当然のことながら、周辺国も海洋権益には敏感です。だからこそ、それ以上にわが国は「海洋国家」として、安全保障・経済政策を推進しなければなりません。領土・領海の保全に、戦略的に取り組むことが重要です。
民主党政権下では、「名無しのゴンベエ」だった遠方離島の一つ一つに名前を付けるように努めました。満潮時に沈んでしまい、「岩礁」ではないかと他国から指摘されるような島には、小さくともキラリと光る予算をつけて整備してきました。
尖閣国有化は、その国家戦略の延長線上にある政治決断でした。昨年4月、ワシントンにおける当時の石原慎太郎都知事による「尖閣諸島を東京都が買う」宣言以来、密かに国有化の可能性を探っていました。尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないところです。しかし、石原発言以降、尖閣周辺における中国の活動が活発になりました。私の問題意識は、尖閣をいかに平穏、かつ安定的に維持管理するかにありました。
私の決断を後押ししたのは、昨年8月の二つの出来事でした。その第一は、昨年8月15日、香港の活動家が尖閣諸島に強行上陸した事件でした。第二は、8月19日、公邸において石原都知事と直接会談したことでした。今、詳細を語ることは差し控えますが、以降、私は腹を固め地権者との国有化交渉を加速させます。一気呵成でした。
そして、ちょうど1年前の9月11日、尖閣国有化を閣議決定し、地権者と正式な売買契約を結びました。その評価は、歴史に委ねます。